ECから始めたアパレルショップが1dayの試着体験会でお客様の心をつかんだお話

これまでECショップを中心に展開してきたMauve pink ですが、2020年秋、1day限定のSHOP(試着体験会)を実施しました。

今回は、minne, Creema といった、ハンドメイド販売サイトなどを中心にブランド展開をしてきた作家さんに向けた、「試着体験会」を開催するまでのハウツー記事としてお届けします。

ポイントは3つ。

  1. おしゃれな事務所、兼作業場を借りること
  2. 工場生産によって在庫を持つこと
  3. 信頼関係のあるお客様だけを呼ぶこと

頑張ってハンドメイドで在庫を確保し、1dayのスペースを借りて、チラシやSNSでお客さんを集める……と想像した方も多いかもしれませんが、ちょっと違います。

ちょっとだけ、経営的な視点からお話をしますね。

手順1 まずは事務所を借りよう

今回Mauve pink が開催した1dayのリアル店舗オープンですが、どこかのフリースペースを借りたわけではありません。

開催地は、日頃は事務所として、または縫製、在庫管理をしているオフィスを利用しました。と言っても、けっこうおしゃれです。

まだハンドメイド作品しか扱っていなかった頃は、とある税理士事務所さんを間借りした形で作業をしていました。

ですが、資金面でのリスクを避けることはできるものの、SNSやWebショップに掲載する写真を撮るための場所というわけではありませんでした。

そこで、家賃が倍になってでもおしゃれなオフィスに引っ越そうと決めてやってきたのがここ、今回の「試着体験会」の開催地だったんです。

引っ越しの背景は「おしゃれなところがよかった」と感じていたことが一番大きかったのですが、それ以外にも理由はありました。

ハンドメイド服の売上が伸びていて、出荷待ちの商品を置く場所がなくなってしまったんです。

そこで私たちは、おしゃれで広くて、縫製作業だけでなくチームミーティングなども開けるようなオフィス兼用の場所を探しました。

Webショップに限らずではありますが、アパレル販売をするのであれば「写真」は必須です。商品写真に始まり、ブログなどで使うイメージ写真などもブランディングには欠かせません。

そして何よりも、おしゃれな場所はモチベーションが高まります。

手順2 工場生産で在庫をつくる

ここでのポイントは、試着イベントのためにわざわざ在庫を用意するのではなく、在庫があるからイベントを開いた、という流れです。

基本的にECを中心に販売をしているのであれば、商圏は日本全国、時には世界にも及びます。

そう考えると、順番を意識することがいかに大切かがわかります。

まずはハンドメイドの受注生産で販売実績を作りながら、売れる仕組みを作っていきます。そのあとに、より「ブランド体験」を濃くするために試着イベントを開く。だから経営的に無理が出ません。

これが売上のない段階で試着会を実施しても、人が集まらないばかりでなく、資金面からも経営を圧迫させかねません。

私たちはまず売上の仕組みができた上で、次に工場生産で扱う商品ラインを揃え、在庫が安定してきた上での試着イベントでした。

手順3 既存のお客様だけにDMを送る

最後のポイントが、信頼関係のできあがっているお客様だけを招待する、ということです。

実店舗のようにして商品を試着できるイベントは、気を付けないとどうしても新規のお客様を集めようと考え、チラシ配りやSNS発信を頑張ってしまいがちです。

ですが、売上をオンライン(EC)で作っているからこそ、リアルでお客様と会える体験は新規の方ではなく、既存のファンの方と行うべきです。

ビジネスというのは、ファンやリピーターに支えられて初めて売上の土台が安定します。どんな場合でも、新規顧客に頼る仕組みは不安定なものです。

ぜひ、すでにある販売実績のなかから、よりファンとの絆を深めるためのイベントとして捉えることをおすすめします。

私たちはECショップで売上をつくっているブランドです。

だからこそ、こういったイベントでは「どうすれば商品を買ってくれるだろうか」という視点から離れたところで接客ができます。

そして逆説的ですが、そういう場になるからこそ、ファンやリピーターのお客様がお友だちや知人の方を誘ってくださり、そこからまたMauve pinkというブランドの輪が広がっていきます。

イベントの後日談

と、ここまで少し偉そうに書いてみましたが、これらはすべて振り返ってみて改めて思ったことばかりです。

イベント企画の始まりも、代表の由美子がこの事務所でなにげなく会話をしていたときにひらめいたことだったといいます。

「在庫もスペースもあるなら、試着イベントできるじゃん…!」

そういうわけで、思いついたその直後にデザインソフトでチラシをつくり、インスタグラムで発表をして、スタッフには事後連絡です(笑)。

ですが結果として、このイベントは大きな気づきを私たちに残しました。

ECショップで販売することがメインになっているからこそ、服の生産を担当しているスタッフは「お客様の顔、声」を知ることがありません。

もちろんレビューやメールの返信などでわかることも多いのですが、対面で接客することと比べると得られるものが大きく違います。

今回のイベントでは、実際のお客様とのやりとりを通してスタッフがさらに仕事のモチベーションを高めることができました。

「ありがとう」の言葉を、目の前で聞けることは貴重です。

試着イベントを開きたい方へ

今回は、3つのポイントを意識した「試着イベント」の開き方をお伝えしました。

  1. おしゃれな事務所、兼作業場を借りること
  2. 工場生産によって在庫を持つこと
  3. 信頼関係のあるお客様だけを呼ぶこと

開催の仕方…というよりも、どんな手順で、どんな目的のためにイベントを開くのかという、少し経営的な目線からの内容でした。

ですが、最後にもうちょっとだけ、すぐに試着イベントをやってみたい方に向けた、すぐに使えるノウハウをお伝えしたいと思います。

まずは場所のお話です。

私たちは専用の場所をすでに丸々借りているわけですが、人によっては間貸ししたいと考えている人も多いはずです。

実際、私たちのオフィスも使っていない日や時間帯も多く、少しでも空き時間の活用をするために部分貸しすることを考えてもいます。

きっと、同じように考えている人は多いと思います。ポーチなど、小さなハンドメイド作品を作っている方であれば、ぜひそういった場所を探してみてもいいのではないでしょうか。

また、チラシ作りなども抵抗がある人も多いと思いますが、今は無料で使えるWebツールも充実しています。

私は『Canva』というデザインツールを使っています。格安でチラシを印刷したいのであれば、『ラクスル』が便利です。

そして、当日のイベント場所を知らせるために、Google Map のスマホでスクショを撮って、パーキングの場所を〇で囲ったものをインスタに載せて住所も書けば十分伝わります。

心配であれば最寄りの交通機関がある駅やバス停、もしくはパーキングからイベント会場までの道案内をした動画をインスタに載せるのもいいでしょう。

すでに信頼関係のできているお客様だからと甘えることなく、少しでも来場のハードルを下げることが、イベント当日を充実させる大切なポイントです。

インスタグラムで当日の様子をちょっとだけお伝えしたので、最後にちらっとご紹介です。

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