売れる服のデザインは、お客様との会話の中にヒントがあります

ハンドメイドからスタートさせたMauve pink ブランドが、なぜ多くのお客様に支持されて今日まで続けてこれたのか。

その理由を振り返ったとき、一番大きな要因だったのは「個性がない服だったから」だと考えています。

これは実際に売ってみて初めてわかったことでもあります。

デザイナー出身じゃない普通の主婦が、ゼロからハンドメイド起業をスタートさせ、ちいさなアパレルブランドとして人気を得るまでのポイント。

それを私なりの言葉で今日はまとめてみたいと思います。

安心して着れる、ちょうどいい服

デザイナーになろうとすると、どうしても奇抜路線を考えてしまうことってあるんじゃないかなって思っています。

服飾専門学校で、年1回の発表会でプレゼンするために作られたような、技術の集大成的な作品ができあがってしまうイメージです。

それは確かにすごい服かもしれないけれど、世の中の9割の人はそれを安心して日常で着ることはできません。

Mauve pink ではお客様から「安心して着れます」というレビューをいただくことがよくあります。ベーシックなデザインに、シンプルな白や黒、ベージュの色合い。

余計な装飾も少ない、“ありそうでなかった” デザインがMauve pink です。見方を変えれば、個性がない服だったからこそ売れたのだと思います。

UNIQLOの製品が売れているのも、ライフウエアとして着まわすことのできる飽きないデザインがあるからこそです。

女性はたしかにデザイン性がある可愛い服、おしゃれな服は買いたくなります。でも1~2回しか着れないの実情です。

「あ、その服、また着てるね?」

と思われてしまうからです。特徴のある服は、まわりの人たちに覚えられてしまうという問題をいつも抱えています。

一時期、ミニマリストという言葉が流行りました。その背景には、流行りやデザイン性のある服を追い求めることへの消費疲れがあったのではないでしょうか。

でも難しいのがオンナゴコロ。

ずっとベーシックなだけじゃつまらない、地味なのはイヤ。何回も着ることができて飽きも生まれない、可愛いと思える服を求めています。

私たちMauve pink は、ちょうどそこにぴったりハマったのだと思います。

何回も着れて飽きもこない、可愛い服

お客様の声に耳を傾けると、色々な声が聞こえてきます。「胸まわりが気になります、透けないかどうか気になります…。」

一つひとつを拾っていくと、服のデザインにおいてできることは意外と少ないことに気づきます。

でも、そのできることが少ないなかで、できる限りの “可愛い” を追求するのがMauve pink のデザインです。

ちょっとだけスリットを入れてみる、首元は空きすぎないけれどキレイに見えるVネックを採用する、などのディテールにこだわります。

ボタンや金具、紐などをあしらった最低限の演出。

例えば、現在もCreema に並んでいるMauve pink のシャツワンピがあります。

襟なしヘンリーネックで作ったシャツが可愛かったので今度はワンピース作りました。すそはそのままシャツ仕様なのがポイント。

共布のヒモも付いているのでぎゅっと結んだり、そのまま垂らして着たりと、その日の気分で着こなしてくださいね。

一枚でも着れる120cm丈ですがレギンスや、デニムと合わせてもいいですね。首元も薄手のタートルと相性のいい作り。肌寒い季節にも活躍しますよ。

こだわったのはこの生地。コットンとリネンの混紡なのでさらさらくたっと気持ちいい。一度洗っていただくといい感じになります。

コットンリネンのシャツワンピ カーキ No.136-04

とはいえ、デザインにめちゃくちゃ凝ったわけではありません。

女性の心理って不思議なもので、2WAYや3WAYの使い道が複数あると、お得感があって買ってしまうんです。春も冬も着れるなんて素敵ね、という具合に。

年代ごとに見ても、それぞれの層で消費行動は異なります。

50代に近づくと、被り物がキツくなったり、後ファスナーのものもキツく感じたりします。おなかがぽっこり見えてしまう服も嫌われます。

そういった要素を考慮しながらシンプルな服へと引き算していく。そして最後に、ちょっとだけ物足りないなっていう部分に1つだけプラスします。

「Mauve pink は私の服屋さんです」

そう言ってくださるお客様が多いのも、ニーズをヒアリングしながら、本当に求めていることは何かを追求していった結果だと考えています。

リピーター様が安心して買える、服を選べないあなたにとっての「私の行きつけの服屋さん」という感覚がMauve pink の強みだと思っています。

シンプル+αを生みだすセンス

リネンレーヨンのスキッパーシャツ NO.27

最後にこれはちょっとオマケで、日常のなかで使えるちょっとしたtips をお届けしたいと思います。

Mauve pink の、余計なものはないけれど、1つの+αで可愛さを演出するためのテクニックです。

私たちはシンプルであることを大切にはしますが、UNIQLOさんのベーシックなものについては「逆になさすぎるな…」と感じることがあります。シャツであればシルエットがふつうすぎて物足りない印象です。

だからこそのベーシックなわけですが、どうしても可愛さを入れたいときには「ボタンを付け替える」ことをします。

ちょっと良いボタンにしてあげるだけで、1着あたりの単価が5,000円は上がっても良さそうなぐらいの品質へと生まれ変わります。

ベーシックでシンプルで余計なものがない。だけどポイントでセンスを+αすることで、あっという間に可愛い服へ大変身。

このわずかなポイントの見極めに、Mauve pink のこだわりが隠されています。

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yumiko

2016年から『手作りのリネン服shop』を運営しています。 自分だけの小さなブランドを作る方法も発信中。