小さなブランドでも活躍できる!ハンドメイド販売のコツ
2019年7月31日。minne(ミンネ)でハンドメイド販売をしていた個人作家さんたちに衝撃が走ったのではないでしょうか?
「自分で手作りした作品を、気軽に販売することができる場所」。
そういった認識を大きく変えるような規約変更があったためです。
おおざっぱに言うと、法人やメーカーの参入が許可されたのです。そこから予測できるのは、個人のハンドメイド作家さんたちの作品が、より多くの「プロの作品」と競合せざるを得ない状況にあるということです。
正式には下記のような発表がありました。
国内最大級のハンドメイドマーケット「minneミンネ byGMOペパボ(以下、minne)」は、本日2019年7月31日(水)より利用規約を改定し、「ものづくりへのこだわり」を前提に、メーカーやセレクトショップなど法人からの出品が可能になりました。今回の利用規約改定によって、これまでのCtoC(個人間取引)に限らず、ものづくりに関するモノ・ヒト・コトが集まる“ものづくりの総合プラットフォーム”として、ものづくりを通して表現する人たちの裾野を広げてまいります。
https://pepabo.com/news/press/201907311530
ミンネが2019年7月に利用規約を改訂

今回のニュースをわかりやすく解説している対談インタビューの記事があります。
その中でも特に印象的な発言を引用したいと思います。
その土地の特色を生かしたものづくりをされている企業の方々からは「自分たちは個人じゃないからminneに出店できない」といったお話や、伝統工芸の職人さんからは「余力がなくてオンライン販売に踏み切れない」というお声をよくいただいていたんです。特に後者は、代理出品が大きな可能性を秘めていますよね。そういった方にも、今後は参加していただける可能性ができました
引用:minneが考える、ものづくりのこと、これからのこと。
この改訂は、ハンドメイド作家さんたちによる「作り方/売り方」の多様化に合わせた、ある意味では必然的なものなのかもしれません。
作品を購入したい買い手サイドからすれば、クリエイティブで良質な作品により多く触れることができる機会が提供されたということになります。
ただし一方で、作品を出品する個人ハンドメイド作家の側からすると、より多くの人が集まる場所にはなるのかもしれないけれど、プロ領域のクリエイターさんたちと競合して勝たなければ作品が売れなくなる、というハードルの高さがあるのではと思います。

実際に私のブランドも、これまでのようにminne内の検索や人気ランキングで上位表示がされにくくなりました。
実際にランキングの上位10を見てみると、個人の作家さんというよりもチームや外注などを駆使した半分法人/半分メーカーのような作家さんが目立ちます。
もはや、牧歌的なハンドメイドの売り買いマーケットの景色は失われてしまったような哀しさも感じられます。
ところが、ここでひとつ面白いお話があります。
実をいうと私が展開するブランド『mauve pink』では、以前よりも人気ランキングで上位に掲載される機会こそ減ったものの、売上は伸び続けているんです。
今日はその秘密を、
「小さなブランドでも法人に勝てる生存戦略」
という位置づけで、個人のハンドメイド作家さんがどうすればこのような規約変更後にも作品を安定的に売り続けることができるのか?
という内容でお届けしていきたいと思います。
個人作家ブランドの強みを最大化

個人の領域を超えて規模が大きくなってくると、メリットが増えるのと同様にデメリットも出てきます。
個人は大手のマネをしてはいけませんし、大手も個人の強みをマネすることはできません。
そこの違いをよく理解し、上手に使っていく方法を見ていきましょう。
法人規模のメリットとデメリット
いわゆる「カネ・モノ・ヒト」が潤沢にある状態ですと、大量生産をすることによるコストダウンを見込めます。つまり作品の価格を抑えることができます。
これにより、個人は「価格の面で法人と勝負をしてはいけない」という大きな理由が生まれます。
また、納期スピードなども生産体制が整っている法人メーカーには勝てないことも多々あると思います。

でも反対に考えると、個人ならではの「強み」も見えてくるわね!
個人が販売サイト(minnne等のものづくりプラットフォーム)で作品を売る場合には2つの大きなメリットがあります。それは…
- 受注してから制作できる強み
- ニーズに合わせて個別制作ができる強み
の2点です。
この特性を上手に活かすことで、人気ランキングの上位に表示がされなくなっても、売上だけは伸び続けるという状態を作ることができるようになります。
ここからは具体的に、その方法を見ていきたいと思います。
掲載される服の出品総量を増やす

個人作家の場合は「完全受注生産」が可能なので、 材料があって作れるものは出品できることが強みになります。
とても大切なことを書きましたが、ちょっと伝わりにくいかもしれませんね。
つまりどういうことかというと…
注文を受けてから材料を仕入れることが可能だということは、ミンネ(minne)やクリーマ(Creema)などの販売サイト上に、10でも20でも、100でも200でも出品しておいても大丈夫ということになります。

販売サイト上に作品を多く掲載されていれば、人気ランキングの上位に入らなくても購入ユーザーさんの目に入る可能性が増えるということですね!
この形は専門用語で「ロングテールモデル」と呼んだりします。
リアルの店舗では商品を無限に陳列することができませんし、大手法人の場合も在庫を抱える経営スタイルを取るためマネすることができません。
完全受注生産の個人作家ならではの強みです。
本当に売れないものはWeb上から消した方が良いですが、そこそこ売れているものであれば残しておくことをお勧めします。
大ヒット作品は「ランキング」に頼る必要がありますが、仮にランキングに表示がされなくても小ヒット作品さえ増やしていければ、ランキングに載らなくても売上だけは伸びるという状況を作りだすことができます。
また、2019年末現在に限っていえば、「作品ランキング」であれば個人でも上位表示が可能な余地があるので、そういったところは果敢に攻めていくと良いでしょう。
GUではなくUNIQLOの戦略で


個人で「GU」のようなファストファッション戦略を取ってはいけないわよ!
先ほどお伝えした「ロングテールモデル」を活用するのであれば、流行廃りがハッキリしているGUのようなファストファッションはなるべく売らないようにしましょう。
一時的にどれだけ売れたとしても、数か月~翌年以降にはまったく売れなくなる可能性があります。
それよりも狙い目は「UNIQLO」のような定番商品づくりです。

定番ものであれば、今年の夏に売れなくても来年の夏にまた売れますね!
「個人はとにかく在庫を持つな!」
これが鉄則。在庫を持っていいのは大手法人だけです。
個人のハンドメイド作家の良いところは「受注してから制作できる」という強みであることを何度も頭に植えつけてください。
このようにして、売れるものを残しながら毎年、毎月の売れる傾向のようなものを分析できるのも大きなメリットになります。
売れないとニーズも読めず、売れるかどうかわからない博打な作品を作り続けることになってしまいます。
待つ時間を楽しみにする文化作り

大手メーカーなどの法人クラスになると、翌日納品などのスピード対応なども行っています。
でもだからといって、個人の作家さんがそこに対抗しようとすると、せっかく好きなことを仕事にしたにもかかわらず仕事に追われるという不幸なことになってしまいます。

私たちは「売れたものを作る」という発想を徹底させないとね!
アクセサリーなど、特に時間がかかるものであれば、絶対にそういった対応をしてはいけませんし、在庫を持つのもよろしくありません。
お客を待たせるデメリットは出てきますが、「待つ時間も楽しいものにする」というのがハンドメイド文化の魅力でもあることを思い出してください。
そのためにも、お客さまのニーズに応えられるオーダーメイドな取り組みやクオリティの追求、そして要望をしっかりと受け止めるコミュニケーションを大切にすることが大切です。
『自分だけのために作ってもらえる』感のあるハンドメイドの良さを好きなお客様もたくさんいらっしゃいます。
このような「小さなブランドでも活躍できるハンドメイド販売の仕組み」が作れたのであれば、そこにさらに販売促進をさせることで売上の伸びを期待できます。
下記の記事もぜひ参考にしてみてくださいね!
参考:Creema を使いこなして売上アップ!超戦略マーケティング

