夏の時期であっても秋冬物のストールが売れた理由は「写真」にありました
Mauve pink は以前、服ばかりを売っていました。
小物も販売したいと思ってはいたのですが、ハンドメイド技術として靴やバッグをつくるのは難しく、いつもどうしようかと悩んでいたんです。
そんな矢先、Creema(クリーマ)の担当者さんからも「小物の作品も、今後の売上を考えるとあったほうがいいですね」と話があり、それならストールはどうだろう? と思いついたのが始まりでした。
しかし、頃はすでに初夏を迎えていて、2020年はコロナの影響もありリネン素材のガーゼがまったく手に入りませんでした。
そこで仕方なくサンプルを取り寄せた「ウールガーゼ」が、今回のヒットにつながることになりました。
夏にストールが売れた背景、ヒットの裏側をお伝えします。
夏でも冷房対策で使えるウール素材

リネン(麻)のストールは、夏でも日焼け防止で身につけている方も多いのですが、前述したように生地そのものを仕入れることができませんでした。
緊急事態宣言のあった4月からのマスク需要と重なってしまったことが原因です。
そこでウール(羊毛)を取り寄せたですが、これが思いのほか良かったのです。
冬っぽさがイメージとしてあると思いますが、触ってみるとサラサラしていて、冷房の効いた室内にいると気持ちよく、生地も可愛かったんです。思わず4色のストールを最終的に作ってしまいました。
コロナ禍では外出を控えることも多く、「STAY HOME」なども叫ばれ、その余韻がまだ残っていた頃です。みんなこの夏はきっと冷房対策するにちがいないと予測できました。
スタッフとの会議でも「これなら夏でも売れる!」と意見が一致しました。
ところで、ウールってどんな生地?(特徴)

ウールの一番の特徴はやはり保温性で、冬のセーターなどにはぴったりです。
ですがほかにも特徴があり、吸湿性に優れているため蒸れにくく、汗をかいてもサラリと着れます。
伸縮性もあり、シワになりにくいのも魅力的ですし、油分を含んでいるため撥水性があり汚れが付きにくいという特徴もあるんです。
総合して考えてみると、素材としてもウールは2020年の夏には特に相性が良かったのです。
季節を問わず商品が売れる理由

まず知っておいてほしいのは、人が服を買う理由はけっこう意外なところにあるということです。
お盆の時期にアパレルの世界では冬の新作が出ています。この時期にコートを買う人も実際はかなりいるんです。サイズ欠けや欠品がなく、いち早く新作を手に入れるチャンスの時期ともいえます。
つまり何が言いたいのかというと、
「すぐに手元にほしい…!」
「買いたい…!」
という気持ちに、どうすればなってくれるのかを考えることが大切ということです。ニーズは人によってさまざまだからです。
そこで私たちがウール素材のストールを真夏に売る方法としてまず選んだのが、写真撮影の工夫でした。
腕をちらっと見せて、夏だろうがなんだろうが「可愛い!ほしい!」と思ってもらえる写真。それが狙いでした。
その上で、夏にストールを纏うことにどういうメリットがあるのかという機能としてのお話や着方の提案をするわけです。
その服は嗜好品?それとも必需品?

例えばユニクロさんのヒートテックは、冬の必需品として買われることが多いのではないでしょうか。あまり嗜好品としては選ばないと思います。
ですが、この嗜好品と必需品の考え方の両方をひとつのアイテムに持たせることは可能です。
ストールは秋冬の必需品です。ということは、仮に夏にリリースしても秋冬には少なくとも売れる予測が立つわけです。
では夏のストールは何かというと、嗜好品として見せることが有効です。まずは「可愛い!」で魅せて、そのあとで夏に纏うことの理由を伝えてあげる。この順番が大切です。
ほかにも、Tシャツ地のタンクトップは夏には必需品として売れますが、冬であればインナーとしても着れるわけなので、
- 可愛いで魅せる
- インナーとしての着こなしを提案
の順番で伝えることで購入してもらえる確率は高まります。
今回は私たちにとっても「夏にウール素材のストールを売る」という初めてのチャレンジでしたが、1日に1枚のペースで売れるという堅調な出だしでした。
この考え方は応用ができますので、季節を問わず売っていきたいと考える方にはぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
ガーゼのストールはオンラインショップで発売中

