ハンドメイド販売の起業で生き残るために~5年間の振り返り~

ハンドメイド販売での起業って可能ですか? 生き残ることはできますか?

もしそう質問されたとしたら、「少なくとも私は5年間、ハンドメイドだけで食べていけたよ」と答えます。

もちろんこの先の未来まで断言することはできませんが、私がこれまで取り組んできた5年間の軌跡をお伝えすることはできます。

ハンドメイド業界の「これまで」と「これから」。

少しだけ私の予測も交えながら、ハンドメイド起業で生き残るためのコツを、私なりにお話できたらと思います。

2015-2020年の業界変遷と私の活動

 

まずは下記の年表をご覧ください。

  • 2015 副業で小さくハンドメイド起業をスタート
  • 2016 縫製も自分ひとりで販売をスタート
  • 2017 縫製の担当が一人増える(土日のみ)
  • 2018 縫製の担当が二人になり、外注も増加
  • 2019 縫製の担当が四人になり、工場生産も開始
  • 2020 Web周りや発送などの外注も増える

私がこの業界に参入した頃、minne(ミンネ)やCreema(クリーマ)などの販売サイトでは、「まさにハンドメイド!」という牧歌的な空気が流れていました。

ただただ、ハンドメイド制作が好きな人たちが、勇気を出して世の中に自分の作品を公開してみる場、という感覚です。

作って、写真を撮って、作品説明の文章を書いて、ぴっとボタンを押さば出品できてしまう。その手軽さもあり、始めるのもカンタンでした。

そして同時に、競合の少なさがありました。つまり、商売としてハンドメイド作品を作る人たちがまだ不在だったんです。

「今だったらハンドメイドで起業できるチャンスだ」

そう直感が働きました。案の定、良いものさえ作れれば商品がどんどん売れるようになり、売上は右肩上がりとなりました。

業界に小さな変化が起こり始めた

 

ハンドメイド作家が自身の作品を公開して、「もし売れたら嬉しいな」というちょっとした自己承認欲求を満たす場から、少しずつハンドメイドの販売サイトは「ふつうのショップ」になっていきました。

個人でブランド展開をする人を皮切りに、アパレルの店舗経営をしている人や量産品のTシャツを売る人も増えました。

販売サイトの規約が変わったんです。少しずつ時代の流れに合わせ、ハンドメイド作家たちも変わる必要が出てきました。

趣味ではなく本気で稼いでいくことを考えるならば、高単価であっても熱心なファンが買ってくれるような独自の世界観と高いクオリティを実現する方法を取るのか、もしくは数をある程度こなせる生産体制を築くか。

私が取ったのは、後者の選択です。

もともと私は独自の世界観というよりも、お客様の声を聞きながら、本当に必要とされるもの、欲しいと思われているものを作ることをスタンスとしてきました。

その結果、定番品の数を増やしながら、特に売れ筋のものを工場生産する方法へとシフトしてきました。

現在では2つの事業部を展開。アパレル事業とハンドメイド事業です。

定番品を量産するアパレル事業と、これまで通りお客様のニーズに合わせながらカスタマイズも行うハンドメイド事業です。

2015年に独立した当初は、まさか自分がこのような道に進むとは思ってもいませんでした。

変化に合わせて私が変えたこと

 

私が初めて業者や法人企業を見つけたのは、たまたまでした。

ずいぶんと販売数が多い作家さんがいるな~と、サイトを見ていたときにふと気づいたんです。そうしたら業者だった。個人じゃなかった。

そこで強敵認定をした私は、すぐに対抗策を考えることにしました。とは言っても、やったことは非常に少ないです。

5年間の業界変遷の中で、大きく変えたポイントは、たった2か所。

対抗策1(受注生産へ)

業者による販売が目立つようになった頃、私が最初にとった行動は「受注生産」へ切り替えることでした。

それまでは気に入った作品を作り、できあがったら出品するという流れでした。

より注文が入るようにと、モデルの起用や一眼レフでの撮影など、写真のクオリティにもこだわるようになりました。

服のクオリティも上げつつ、見せ方にも気をつけるようにしました。

その結果、売れたものを作るという流れが生まれ、効率的な販売ができるようになりました。人気商品は材料も多めにストックし、いつでも対応できるようにしました。

対抗策2(工場での量産活動へ)

ハンドメイドの販売サイトが、もはや業者だらけで個人作家の面影もなくなってきた最近は、私も量産を意識するようになりました。

その背景には、私のブランド自体の売上が伸びていることもありました。

現在はすべての商品ではなく、売れ筋の人気商品だけが現在は量産品の対象ですが、少しずつアパレル事業部としての工場生産も増やしていく予定です。

メリットは何よりも「お届けまでの日数」を大きく減らすことができること。

受注生産では、注文が入ってから3週間程度待っていただくこともざらにあります。

それを待つ楽しみもまたハンドメイドの魅力ですが、人気の定番品については納品スピードもまた求められていることでした。

そのおかげもあり、私は「デザイン」を考える時間を以前よりもたくさん持てるようになりました。

生地サンプルを取り寄せ、問屋さんを訪問するために福岡から大阪まで足を運んだこともあります。デザインにこだわり、生地にもこだわる。

こういった活動ができるようになったのも、量産のアパレル事業を立ち上げられたからです。

時代が変わっても私が変えないこと

 

これからの時代を見据えながら、私が今考えていることは、「これからはますますブランドが大切になってくる」ということです。

それはこれまでの「見せ方」でどうにかブランドイメージを作るような方法ではなく、手に取ってくれたお客様が喜んでいただけたことから口コミが広がるような「本当の意味でのファン化」までを見込んだブランド作りです。

一方で、たまたまminne(ミンネ)やCreema(クリーマ)で、『Mauve pink』のブランドを見つけてくれた方が、ホームページやインスタまで見てくれる可能性もあります。

現在は、自社のオンラインショップも作っています。
これはオリジナルのショップ作りができるので、独自のサービスができることが強み。

BASEというサービスでも簡単にできますが、私はよりオリジナル感を出したくて
カラーミーショップを使っています。

女性に選ばれているネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」

そういったWeb上の接点を増やしながら、Web上でのファン化を促すことも同時に必要になると思います。

Web上でのファン化と、購入後のファン化。

こういったお客様との接点ごとに「ファン化のアクション」をていねいに積み上げていけるブランドが、これからはますます強くなると思います。

 

ハンドメイドは参入が簡単なだけでに、次々と新たなライバルが増え、ますます自分の商品は情報の渦の中へと飲み込まれていきます。

そういった中で、いかにファンになってもらえる要素を積み上げられるか。先ほど「接点」のお話をしましたが、その大前提には“世界観のあるクオリティの高い商品” であることも条件だと考えています。

着丈や腰回りのサイズなど、機能的な部分でお客様の声やニーズをこれまで以上にていねいに拾い上げながら、『Mauve pink』としての世界観をこれまで以上にデザインや生地の質感で見せていく。

そう考えると、ブランド作りにおけるトータルの取り組みとバランス感が、これからますます問われるような気がしています。

5年前に比べて、生き残るためにはますます多くのことを考えてチャレンジしなければいけない時代。

私のチャレンジは、まだまだ続きそうです。

それがまた、楽しいんですけれどね(笑)

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yumiko

2016年から『手作りのリネン服shop』を運営しています。 自分だけの小さなブランドを作る方法も発信中。